はりくやまく

琉球舞踊・組踊・古典音楽を見たり、聞いたり、のメモ

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おきゃくさん

沖縄の歴史文化や風俗について多くの著作を残された古波蔵保好さんのエッセーに、とある人に料亭を紹介した顛末をつづった一文があります。

グルメとしても知られる古波蔵さんは、味だけでなく美しい器でもてなす心遣いが素晴らしいと推薦したのでした。その人は、器の素晴らしさを期待して足を運んだのですが、思ったようなもてなしを受けられなかったと、古波蔵さんに苦情をもらしたのです。古波蔵さんは器を大切に扱う心得のない客には、店もいい器は出したくないだろうと推察し、塗り物が剥げないように「もっとも大切にしている蒔絵の椀を使うときは、女性客の唇を見定めてからにしないと」という主人の言葉をひいています。『客は大事、器も大切』というタイトルがお店の戸惑いを伝えているようです。

料亭では自分の「失敗」が自分にかえってくるだけですが、劇場では「被害」が大きくなるから厄介です。

1年ほど前のことです。シェイクスピアの原作を沖縄の歌舞劇に仕立てた公演がありました。公演はとても面白かったのですが、困ったお客さんが客席にいたのです。中年の女の方でしたが、コンパクトデジカメを取り出して、役者さんをパチパチ撮りはじめたのです。さすがにスタッフに注意されていました。客席でカメラを出されると見る妨げになるのはもちろんです。無許可の撮影が応援になるのかは疑問です。

しかも、彼女の行為も原因で、出演者によるアフタートークが中止になったのです。アフタートークがあることはチラシにも乗っていて、出演者との交流を心待ちに足を運んだ観客も多かったのではないでしょうか。演劇空間は舞台と客席が一緒になってつくり上げていくものだといわれますが、一部の心無い振る舞いで、他の人の楽しみが奪われてしまったのです。観客のほうから空間の壊しにかかって、いったいどうするつもりなのでしょうか。残念という以上にもっと過激な言葉が浮かんできそうでした。

古波蔵さんのエッセーは「すばらしい器でもてなされるためには、客の側にも、それ相応の心得が必要だということになろうか」と結ばれています。いいお客さんになれば、楽しみが増すのは、料亭も劇場も同じだと思うのですが。



一部加筆しました。
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Comment

いいおきゃくさん 

劇場空間では、公共性と公衆性が何によって担保さえているのかと言えば、いい出演者、いい裏方さん、いいおきゃくさんということですね。お作法部の活動はますます重要になってきますね。コンベンションセンター劇場棟ができたとき、ある公演のお客のマナーが悪く、その公演の大詰めが台無しになったことを思い出しました。
  • posted by お作法部 
  • URL 
  • 2012.02/24 13:48分 
  • [Edit]

NoTitle 

みんなで楽しみましょうという気持ちでいれば、自ずから望ましい作法は分かりそうなものですよね。

カメラの女性は、研究の目的もあったようです。だとすれば、劇場空間についての理解もあるはずで、範を示していただきたかったですね。今更ながら。
  • posted by 亀千代 
  • URL 
  • 2012.02/24 14:48分 
  • [Edit]

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