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琉球舞踊・組踊・古典音楽を見たり、聞いたり、のメモ

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創作組踊「スイミー」

スイミー



11月7日 那覇市ぶんかテンブス館

てんぶす6周年アニバーサリーで創作組踊「スイミー」が上演されました。
那覇商工会議所が企画した「おきなわ芸能オムニバス」の一演目です。

レオ・レオニ作の世界中で親しまれている絵本を嘉数道彦さんが敵討物の組踊に仕立てました。芸大修士1年の時に書いたというから、10年近く前になります。組踊作家・嘉数道彦の最初期の作といってよいでしょう。子どもたちのワークショップから学会まで、いろいろなところで演じられてきました。演出面ではクラシックとコラボもありました。

今回は、芸大生+αの若いメンバーの出演でした。
親兄弟をジンベイザメに食べられてしまったスルル小が、グルクンに励まされ、敵討ちを決意。ベニザケやタラバガニ、タコの助けを借りて望みを果たすといったストーリーです。若按司を押し立てての仇討という組踊の世界と、小さいものが力を合わせてことにあたるという絵本の「小さなかしこいさかなのはなし」の世界が綺麗に融和していました。


ところで、組踊のスイミーは悲劇の若衆として登場しますが、絵本のスイミーははぐれ者です。黒い色をしているために、赤い魚たちから冷たくされます。それでも、自らの才覚でみんなをまとめていきます。絵本のスイミーが<助ける存在>であるのに対し、組踊のスイミーを<助けられる存在>に性格付けを変えたのは、組踊の世界を作り出す上で効果的だったのではないでしょうか。

また、絵本のスイミーは様々な海の生き物と出会う旅で、自分を見つけていきます。
(組踊では、他の魚たちのほうから、スイミーを助けに集まってきます。)

スイミーがはぐれ者であること、自己を発見すること。
絵本にあるこの2つの要素は、組踊版には含まれていません。
スイミーを「若按司」に見立てるなら当然です。

しかし後年、「てるてる」「歌たい舞うたい干支せとら」という作品が生まれます。
嘉数道彦さんは「てるてる」では泣き虫で雨を降らせてしまうてるてる坊主の自己発見の旅を演じ、「干支せとら」で皆にいじめられながらも才覚で森を救うネズミのマチューを作り出します。なんだか、つながっているような気がします。

組踊「スイミー」は、組踊に興味を持ってもらうにはどうしたらいいかという視点で書かれたといいます。組踊の普及への思いに加え、<内容は新しくしても、(いわゆる)様式は守る≒尊重する>という意思がすでに表れている点でも、注目すべき作品だと思います。



追記
登場する魚は、上演のたびに種類が違うようなのですが、今回は北海道からベニザケとタラバガニです。頭に細棒を差して袴を履いた装束は、いかにもタラバガニ風(もう少し肉付きが良ければ、もっと雰囲気が出ていたかも)。内着にピンクを効かせたベニザケの支度が素敵でした。
立方は全員女性で、ぎこちないところもあったけれど一生懸命で、伸びしろのありそうなみなさんでした。地謡は男性三名で、楽器を持ち替えながら頑張っていました。







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Comment

NoTitle 

ご無沙汰しています。
各地の豊年祭の芸能などを追っかけていましたが、
シーズン終了につき、そろそろ劇場に戻ろうと思います。
「スイミー」、院生時代の最初の作品ということで、
これは押さえておかなければと、
その一点で馳せ参じました。
そういう意味で、特別期待とか何もなく、
白紙の状態で見たのですが、いやー、恐れ入りました。
おもしろかったです。よくできていると、敬服しました。
私も「てるてる」や「エトセトラ」が浮かびました。
それぞれの扮装もとってもよかったと思います。
阿嘉さんが、腕によりをかけたんだろうなと、
光景が浮かぶようでした。
  • posted by セバ@宜野湾 
  • URL 
  • 2010.11/11 18:05分 
  • [Edit]

Re: NoTitle 

こちらこそ、御無沙汰です。
豊年祭廻りですか、いいですよね。
うちの地元でも公演でにぃにぃ達が稽古に頑張っていました。


> おもしろかったです。よくできていると、敬服しました。
> 私も「てるてる」や「エトセトラ」が浮かびました。

ちょっと強引だったかと思っていたのでv-22
共感してもらえてうれしいですv-237
「スイミー」は曲も耳馴染みのあるものを使っているし、
面白いですよね。

> それぞれの扮装もとってもよかったと思います。
> 阿嘉さんが、腕によりをかけたんだろうなと、
> 光景が浮かぶようでした。


阿嘉さんといえば、タラバガニの頭飾りは
ギャラクシーのヒータッターと共通点があるじゃないかと
今気づきました。セバさんは思いますか?
  • posted by 亀千代 
  • URL 
  • 2010.11/12 11:59分 
  • [Edit]

なるふどぅ あんさみ 

そうか、フィタタか。きっとそうでしょうね。
組踊鑑賞教室、今や「芸」の域に達していると思われる、
解説話しのあと、二童や執心鐘入の前に、
より具体的な説明手法として、スイミーを入れるのも
ありではないかと思います。
国立じゃなくても、あちこちで、いろんな使い方ができると
思うし、こういう作品をどんどん生かしていけばよいのになと
思います。
  • posted by セバ@宜野湾 
  • URL 
  • 2010.11/12 23:40分 
  • [Edit]

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