はりくやまく

琉球舞踊・組踊・古典音楽を見たり、聞いたり、のメモ

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御冠船踊り幻視2

組踊「執心鐘入」は、最初の組踊の一つで、現在に至るまで数多く上演されています。したがって、演出・型にもいろいろと種類があります。村踊りを手掛かりとした、今回の復元ですが、村踊りからどのような、素材や要素を取り入れて舞台を作ったのかは、勉強不足でわかりませんでした。前にも書きましたが、いつの御冠船を基準に復元を図ったのかも含め、このあたりの解説があれば、理解が深まったと思います。

舞台上で進行する物語や演出は、現在の劇場にかかるもの(伝統組踊保存会のやり方)とは、大きな違いもあり、興味深かったです。まず、出入りが橋懸と上手・下手の幕をめくって行われました。幕からの出入りは、村踊りにあるものだそうです。上手・下手は北表・南表に対応しますが、今回の出入りは、「琉球戯曲集」のト書き(戌の御冠船)とほぼ同じでした。詞章は、宿の女と若松の問答が、女「をとこ生まれても」→若「女生まれても」ではなく、女「をとこ生まれても」→若「をとこ生まれても」となっていたので、寅の御冠船の記録に基づいているのかもしれません。所作や居所もいろいろな先生方の型がないまぜになっているようにも見え、ここでも解説がほしかったです。
音楽は、普段よりは抑えた感じで、情緒を込めるというよりも、色をつけずに、シンプルに進行する舞台に合わせているように感じました。

尚家文書の公開
も始まっているので、新発見や伝承の訂正もあるでしょうから、今後の研究が期待されるところです。
関係者の皆さん、お疲れ様でした。

記憶を元に舞台の模様をメモしておきます。

若松が橋掛から出るところは、笠をかぶって右手に杖を持っています。南表幕内の女と問答があって、【里と思ば】で女が南表幕から出ます。保存会・盛重型とは逆方向で、金武先に近いですが、紅型衣装を壷折りにしているところは保存会・盛重型です。女が手燭の明かりで、若松を見入って、舞台を回ります。若松もそれについて歩きますが、笠はまだかぶっていて、干瀬節の後半【互に】あたりで笠を外していました(能造先生風でしょうか)。太田朝敷は「上の句で笠を外して、舞台の上手に来る」と御冠船の型を書き留めています。

宿に入って、若松が上手先、女が下手奥に居所を占めます。新垣松含と玉城盛重の論争もありましたが、今回は、御冠船の型でした。すぐ寝入ってしまう若松を起こすところは、女が思い入れのあと【御行合さらめ】の下線部あたりで立ち、若松に寄って、ゆり起こすようにする。ゆり起こすのは金武先生のやり方ですが、元の居所に戻るときに、様子をうかがうような仕草はあまり見受けられませんでした。

若松のセリフ【夜明け白雲】【知らぬ】などは、あまり甲高く・強く言うことをしませんでした。

干瀬節での追っかけは、女が左手を若松の左肩に、右手を右肩にかけて振り払われ、袖をとって橋掛から退場します。若松の捨てた笠を北表幕から出た後見が取り、南表幕に入ります。

若松は北表幕うちの座主に助けを求めます。幕から出た座主は「髪黒繻子もつ、紫縮緬、金襴けさ」のいでたちで末広を持ちます。呼び出された3人の小僧も「髪黒繻子もつ、玉色さや衣」で、戯曲集の指定どおりです。玉色がどんなものかは、解釈もあるようですが、藍の薄いもの・浅葱系の色との解釈をとっていました。帽子をかぶることで、坊主頭の鬘の違和感もなくなっていました。3人の小僧のコミカルなところは極力抑えられ、「推参な小僧」の拳骨もなく(当然、太鼓のポン!もなく)、居眠りの頭をぶつけるいたずらの場面などがなかった。あまり笑いに走らないのが御冠船ということだろうか、金武先生でも太鼓はないもののいたずらはあるわけで、商業演劇ならなおさら盛りあがる場面を作ったということだろう。

花笠をもった女が出て、さえぎる小僧を笠で左右に払う。女は鐘の少し離れた所に立ち、小僧らは客に背を向ける形で女を囲む。

女は【死ぬが心気】で腰から落ち、足は伸びている。笠で隠した顔を露わにして、周囲を睨みつけるところに、朱のダミが全くなかった。

その間に座主が若松を北表幕からにがしているので、女はすくっと鐘に入る。太鼓と「イーヨー」があって女が紅型をかぶって出てくる。腰にまかないので、すぐに打ち捨てて、鉄丁を振りかざして対決となる。鬼女の面は赤茶色で、緑や青のイメージがあったので面白かった。

鐘はつりさげ型ではなく、前半分だけのものを置いたまま使うもので、初演からある、鬼女がつり下がった鐘から身をくねらせる型は省略された。

祈りの対決は、六法風。調伏され、橋掛からさる鬼女のさびしげな後姿の余韻を持たせるように、、太鼓も柝も入らず、戻る小僧がびっくりする型はなし。


参考・琉球戯曲集・国立劇場上演資料
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