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琉球舞踊・組踊・古典音楽を見たり、聞いたり、のメモ

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大川敵討

大川敵討
1月23日 国立劇場おきなわ

今回の公演は、国立劇場おきなわの志向が、若手出演者の起用・人間国宝による指導・名作大作の上演という3点に、良くも悪くも表れたものになったと思う。

組踊の中でも屈指の長編(今回の上演時間は2時間半あまり)を、休憩をはさんで(これには違和感あり)、全編上演した。2004年に組踊保存会が通し上演した際には、地謡・立方ともに、保持者が務めたが、今回は特に立方の世代交代が着実に進んできていることを示した。男性舞踊家・組踊役者の育成に力を入れてきた、芸能関係者の努力が実りつつあることに敬意を表したい。


謀反に破れた<大川の按司>の忠臣<村原の比屋>の妻<乙樽>を演じた新垣悟は、次世代の立女方(組踊でもこういうかな?)になった。第一場の姑と乳飲み子を抱いて逃げる場面では、倒れ込んだ姑への孝を尽くすため、苦悩を押し殺して我が子を捨てる。夫である村原の比屋と再会すれば主君若按司を取り戻すため、単身で敵の城に乗り込む策を自ら持ち出す。第二場、有名な「糾しの場」では厳しい詮議を毅然と跳ね返しながら、敵の<谷茶の按司>を籠絡する。第四場では、若按司を城から連れ出すことに成功し、長刀片手に谷茶の按司と対決する。子供への情に揺れながら忠孝の信念に生き、知性と武術の腕、色香を併せ持った、スーパーヒロインぶりが立派だった。谷茶の按司とのやり取りでは、もう少し艶然としても良かったかと思います。

<原国兄弟の兄・松千代>の東江裕吉が光り、<同弟・金松>の佐辺良和も安定。谷茶の臣下<石川の比屋>の嘉数道彦は、一見地味な役ながら糺しの場で、主君の意向を読み取り上手に立ち回ろうとする演技に存在感があった。

残念だったのは、詞章の味わいが見どころ・聴きどころの第二場以降で、台詞が飛んでしまった方が3人ほど見受けられたこと。うち2人にはプロンプターの声が響いていました。そこ以外は、順調にいい雰囲気で演じてきただけにもったいない。「伝染」の怖さを感じた。また、劇場が決めたのか、稽古のやりやすさなどで指導者が選んだのか、必ずしも役者にぴったりとしていない配役もあったように思う。

地謡は、保持者を中心にした布陣で、若手は仲村逸夫と神谷大輔が加わった。歌三線は山城暁・仲村(野村流)、照喜名進・神谷(安富祖流)のコンビを基本に、独唱や斉唱。大川敵討は第一場に音曲が詰め込まれていて、ききどころです。
母が疲れと雪に足が進まなくなった心情を歌う<子持節>の独唱で神谷が安定。照喜名とのコンビも丁寧に調和していた。
仲村は、乙樽が子供を捨てようとする場面での<東江節>を担当。「しのばらぬ」と伸ばしていくところに、若干の気負いが感じられなくもなかったが、まとめてきた。山城とのコンビでは第三場の<さいんする節>などでは実力を出したが、第一場<仲村渠節>などでは、山城に押されぎみに聞こえた。なかなかないコンビだし、声質も合うのか微妙で、大変だったと思うけれど、期待値が高いので、若干物足りなかった。冒頭の<散山節>は仲村の独唱で聞きたかった。

第一場の幕切れに流れる<伊野波節>は神谷・照喜名(乙樽唱え)仲村・山城と歌い継ぎ、それぞれの味わいが聞けた。


組踊「大川敵討」
立方指導:宮城能鳳 地謡指導:城間太郎

〔あらすじ〕

第1場
谷茶の按司は人望厚い大川の按司を攻め滅ぼしてしまう。大川の按司の忠臣・村原の比屋は今帰仁城からの帰途にその悲報を聞き、激怒する。戻る山中で妻の乙樽と子供や母と会い、乙樽は捕らわれた大川の若按司を救うため、谷茶城へ乗り込む決心をする。
第2場
乙樽は大川の若按司の乳母と名乗り、谷茶城に単身乗り込む。巧みな話と色仕掛けで谷茶の按司をだますことに成功する。
第3場
物売りに身をやつし谷茶城をうかがっていた村原は、間の者・泊にこれまでの経緯を聞いて、敵の様子を知る。
第4場
村原はちりぢりになった大川の旧臣を集めて谷茶城を攻め、主君の仇を討つ。

〔配役〕
村原の比屋/嘉手苅林一
母/石川直也
妻乙樽/新垣悟
門番/仲村正雄
谷茶の按司/大田守邦
石川の比屋/嘉数道彦
満名の子/宇座仁一
下部/前當正雄
泊/阿嘉修
喜瀬の大屋子/川満香多
原国松千代/東江裕吉
原国金松/佐辺良和
西川の子/平田智之
瀬底下庫理/真境名律弘
西川の子使い/呉屋智
若按司/平良駿弥
金の麾持ち/宮城茂雄
谷茶のきやうちやこ持/金城真次
村原のきやうちやこ持/上原信次
後見/国場涼太

〔地謡〕
歌・三線/山城暁・仲村逸夫・照喜名進・神谷大輔
箏/宮里秀明
笛/嘉数世勲
胡弓/新城清弘
太鼓/喜舎場盛勝
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