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汗水節とカメおばあ

汗水節

昨年12月に上演された演劇「かじまやあー カメおばあの生涯」は、米軍嘉手納基地の騒音訴訟の象徴的人物の人生を描いた作品。演出家の栗山民也さんが、2004年から年に1回のペースで、沖縄で開いてきたワークショップの(中間だといいなあ)報告の公演だった。
日本で最も多忙でな演出家の一人である栗山さんが、なぜ定期的に沖縄に通い続け、沖縄の演劇人(志望者を含め)と活動してきたのかは、著書『演出家の仕事』などに一端が記されている。
脚本の下島三重子さんとともに、参加者と真摯に向き合ってきた成果が、面白い舞台となって結実していた。

カメおばあを演じた吉田妙子さんの存在感や、その嫁役の犬養憲子さん、芝居好きの医師役などの普久原明さんの存在感はすごかった。決して器用なばかりでない出演者たちも一人何役もこなした。栗山演出は、村人が長寿祝いの余興で劇を演じる稽古をしているという劇中劇の手法をスピーディーに取り入れて、役者を活かしていた。

「外」から「沖縄」を見る・関わる視点が、爆音訴訟の弁護団・調査者に通じるもものがあり、「消費されている」という違和感はなかった。かえって、沖縄側がどう対処するのかを突きつけられている。その意味でも、「汗水節」を劇のテーマソング的に使っていことがおもしろかった。

カメおばあは(若いときから)、何かにつけてこの歌を歌いながら働く。戦時下の南洋でも、戦後の軍作業でも、米軍にとられた土地・家の復興の時にも。戦火に荒れ果てた沖縄で何とか生き残った人々の糧が、軍作業だったというのは皮肉な構図だった。それとともに、「反戦おばあ」と称されることになるカメの愛唱歌が「汗水節」というのも、変に思えた。というのも、この歌は、昭和4年の[御大典奉祝記念]に合わせた「貯蓄奨励民謡募集」の入選作だからだ。世界的不況もあって、産業の弱い沖縄経済が、「ソテツ地獄」を招くほどの疲弊した時代である。

軍事体制を重視していた日本政府による沖縄政策がどのようなものだったのか。そんな時代に公募された教訓歌は、「贅沢は敵だ」「産業報国」に通じる、戦時体制動員の道具だったのではないか、と思ったのだ。
しかし、汗水節記念碑建立期成会の拝根光正さんは、歌詞に支配者に対する抵抗の感情が含まれていると解釈している。

≪汗水ゆ流ち 働ちゅる人にの 心嬉しさや 他所ぬ知ゆみ≫有名な一説の「他所」を「他県出身の支配者や、寄留商人」だという説を是認し、≪汗水流して働き、勤倹貯蓄を奨励して資力を築き、手墨学問を広めて知識をみがき磨き、他所者の支配者を沖縄社会から追放しようという抵抗の意味≫を理解するときに歌は深い味わいがあるとしている。
この立場からは、生まれ育った土地と生活を守るために「不服従」を貫いたカメおばあの歌にふさわしいと思う。
「汗水節」は、今なを人気のある曲だ。親しみやすいメロディーに乗って、様々な解釈を許す、懐の深い歌詞のおかげだろう。作詞者の仲本稔さんの出身地具志頭(現八重瀬町)では、「汗水節大会」が開かれている。今年は1月30日だった。

八重瀬公園の桜の下で、多くの人の心に≪成し業ん終えて 子や孫ん栄え 七十坂登て 別れさびら≫という辞世の琉歌を残し、誠実に人生を終えた仲本さんの思いが響いたのではないか。


参考 『沖縄の風土に生きる汗水節』汗水節記念碑建立期成会



2009年12月4日 琉球新報
戦後沖縄浮き彫りに 「カメおばぁの生涯」製作発表
世界的な演出家の栗山民也さんをはじめ、出演者や関係者が意気込みを語った「かじまやー カメおばあの生涯」の製作発表会=1日、北谷町のちゃたんニライセンター
  【北谷】「反戦ばあちゃん」のニックネームで親しまれた松田カメさんの生きざまを描いた創作劇「かじまやー カメおばあの生涯」(主催・北谷町、同町教育 委員会)の製作発表会が1日、ちゃたんニライセンターで開かれた。世界的な演出家の栗山民也さんをはじめ、オーディションで選ばれた出演者28人や町関係 者が意気込みを語った。また、同日には協賛金の目録贈呈も行われ、8団体から約290万円が贈呈された。
 劇は松田カメさんが生活していた同町砂辺を舞台に、カメさんの生活と生涯を同時進行で描き、戦後64年がすぎても変わらない沖縄の現実を浮き彫りにしていく。
 演出の栗山さんは「見どころはすべて。それぞれ個性がある沖縄の役者は面白い。カメさんの半生を描きながら、出演者の人生が絡んでいく現代演劇の面白さを実感してほしい」と話し、多くの来場を呼び掛けた。
 出演者の徳永樹さん(18)=北谷町=は「自分が知らないおじいさんやおばあさんの時代の出来事を演じることで、沖縄のことを真剣に考える機会になった」と話した。
 同劇は12、13の両日に同町ちゃたんニライセンター、16日には浦添市のてだこホールで上演。前売り券一般2000円、小中校生1000円、当日券一 般2500円、小中校生1500円。問い合わせはちゃたんニライセンター生涯学習プラザ(電話)098(936)3492。

東京新聞

カメおばあの生涯と日米同盟
昨年末、沖縄県の米軍嘉手納基地に近い北谷町のホールで、地元俳優らによるある芝居が上演された。
 「かじまやー カメおばあの生涯」。戦闘機の騒音禍と戦った「沖縄の反戦ばあちゃん」、松田カメさんの生涯を描いた作品だ。
 脚本を書いた下島三重子さんは沖縄出身の俳優、藤木勇人さんのマネジャーでもある。演出家の栗山民也さんと沖縄に通い詰め、舞台げいこと並行して脚本を練り上げた。
 主題は、基地の被害と戦いながらも、基地にすがって生きていくしかない沖縄の現実。もう一つの主題が、沖縄と本土との壁だ。
 「やまとんちゅ」(本土の人)の下島さんは脚本で、劇中の演出家役に自らを重ね合わせ、基地従業員でありながら反戦平和運動をする若者に驚き、こう語らせる。「私、何も知らないで芝居書いてる」
 日本国土の1%に満たない沖縄県に在日米軍基地の約75%が集中する現実を、日米両政府と両国民が、どれだけ理解してきたのか。
 米軍の存在が、日本や東アジアの平和と安定に役立つというのなら、それに伴う痛みは国民が等しく分け合うべきだろう。それができずに「同盟」などと、軽々に口にすべきではない。
 一地域だけに過重な負担を押しつけて平然としている同盟関係など安定的に続くわけがない。そろそろ、その現実に気付くべきではないのか。日本政府も、米政府も。 (豊田洋一)

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